*Exhibition



*statement

いつか自分がデジタルで撮る日が来るなら何にレンズを向けるだろうか。そう考え始めると、いつも漠然と、立体で、静物で、アナログで、量があるモノというイメージにたどりついた。デジタルの対極にあるモノを、デジタルだから可能になる表現で作品にしてみたいと感じていた。

絶版になってしまった書籍だけに居場所が与えられる、洞窟のような書砦を見つけた日、これだ、という思いが走って心臓が鳴ったのを覚えている。「知」というものが姿をもち、手に取られる日を待ちながら暗闇の中で生きもののように呼吸している場所。そこへ電灯とカメラひとつだけで入るのは、探検家のような気分だった。

光源を向けると私に絡みついてくる、万にも及ぶ背表紙の群れ。誰かが誰かに向けて刻んだタイトルの活字が、圧倒的な迫力で迫ってくる。ここにあるすべての書籍を単に文書データとして保存するなら、数枚のメモリーカードに書き込んでしまえるだろう。けれどそこには、本を手にした時の重量感や紙が帯びる微熱のようなものまで書き込むことはできない。私は洞窟に漂う知のアナログエネルギーと、デジタルの可能性とを闘わせてみたいと思った。