*Exhibition

*artist statement

“ 水の器について/山ノ内浄水場 ”

私が京都市右京区にあった山ノ内浄水場を始めて見学したのは2012年11月のことでした。翌年の3月、半世紀近くにわたって京都市西部地域の水の供給を担っていたこの施設は操業を停止することになります。西京区に生まれ育った私は、長きにわたってこの浄水場からやってくる水を利用していたようですが、この場所について意識することは殆どありませんでした。

建築家の増田友也氏の設計による水処理のための(巨大な)施設はそれまでに体験したことのない独特の空間性を備えていて、解体までにこの場所を記録したいと強く思いました。操業を停止する少し前から、施設の水が抜かれ始め、停止後には水処理のために穿たれた巨大な空間が露になりました。広大な沈殿池の底に降り立つと、そこは静かで、古い遺跡を訪れたかのようでした。

撮影の最後に、着水井という、琵琶湖からの水が市内の地下を通り、初めにこの施設に流れ込む大きな円形状の空間に降り立ちました。この場所には直径が人の背丈ほどの大きな穴が穿たれていて、その空間に強い印象を覚えた私は、この場所と私が生まれ育った家との関係を確かめるようにして、穴を撮影した写真を背中に背負い、浄水場から家までの道を歩くことになります。

大きな穴を背負った亡霊のような存在と共に見る都市や郊外の風景とはどのようなものでしょうか。浄水施設という、現代の生活に基底的に関わりながら(普段は)意識されにくい場所を記録すると同時に、その空間を通じて、身近な都市や郊外を捉えようとする試みです。


“ The Vessel / Yamanouchi water purification plant ”

My first visit to Yamanouchi water purification plant, located at west side of Kyoto city, was in November 2012. The plant had been supplying water to west area of Kyoto city for nearly half a century, and it was scheduled to stop its operation in March next year. From my birth, I had used the water from the plant, but I almost hadn't paid any attention to it.

The plant which was designed by architecture MASUDA Tomoya was very unique and impressive. I strongly wanted to take photographs before it disappears. As the closedown approached the water began to drain by section, and after the complete shutdown, an immense space was unveiled. I went down to the bottom of the pool. The space and its silence reminded me of old ruins.

At the end, I went down to the circular space where the water from Lake Biwa first entered. I was attracted to the big holes in the space. Later I carried a photograph of the hole on my back, and walked from the plant to my house as if I was searching for the relation between the plant and my house.

What is it like to see the landscape with a phantom of the hole?
This exhibition explores and documents the place that services our basic needs yet hardly acknowledged in our contemporary life, at the same time, takes a different view of our city and suburbs through the eyes of such space.


*artist profile

三木由也

1979年 京都市生まれ
2003年 信州大学農学部森林科学科卒
大学卒業後、徐々に制作活動をはじめ、近年は主に写真や映像による特定の場所や地域の記録を軸とした制作を進めている。

【主な活動歴】
2016年 Video Party 2016 /Lumen gallery /京都
2016年 会議船バッブンカッ!の航海訓練 /吉田寮食堂 /京都
2015年 会議船バッブンカッ!の航海訓練 /VIVA la MUSICA! /京都
2015年 増田友也生誕 100 周年記念建築作品展 /京都工芸繊維大学 /京都
2015年 Art Sort Boot 2015 /gallery Main /京都
2013年 Kyoto Current 展 2013 /京都市美術館別館 /京都
2013年 移動-風景 /京都市西京区
2012年 肖像-杖のある風景- /でんかハウス /京都
2009年 Picture for blue /ギャラリー白 3 /大阪
2008年 種子の風景 /ギャラリーhorizont /京都 2008年 インディペンデント CASO 展 2008 /海岸通ギャラリーCASO /大阪
2007年 インディペンデント CASO 展 2007 /海岸通ギャラリーCASO /大阪


*gallery comment

galleryMain準企画展 三木由也写真展を開催します。

琵琶湖疎水より水が届く浄水場の最初の池"着水井"に大きなインスピレーションを受けた三木由也は、その衝動を、1mほどの大きな管=導水管をパネルにして背負い、水が運ばれていく先である市街を歩く、という行為で表現しました。

映像は山ノ内浄水場という京都市右京区にある浄水場を建築的に記録撮影するところからスタートし、三木が"着水井"に降り立ったところで終わります。
水の辿る軌跡や流れ、そして自然から人間の営みへ繋がる消費や循環。
それらを大きな環と流れのエネルギーとして感じ受け、三木は歩き始めました。その映像はある種の純粋さとエレジーをもって淡々と記録されています。

写真(静止画)と動画によって編集された今展は、水という人間の営みに不可欠なものを巡る叙事として、複合的なアプローチによりひとつの枠に収まりきらないアート作品として結実しています。